大人のおもちゃのようなアダルトグッズは特許になるのか?
結論:以前は公序良俗に反する発明(特許法第32条)として拒絶されていたが、今は特許になる。
10年ぐらい前に、ノブナガという深夜番組で、大人のおもちゃを製造している社長がインタビューされているのを見ました。
その社長の会社が製造する大人のおもちゃは、工夫がいろいろ凝らされ、ユーザの評判が非常に良いそうです。
東野幸治が、その社長に悩みは無いですか?と聞いていました。
すると、その社長は、「こういった大人のおもちゃは、特許が取得できないので、新製品を出してもすぐに中国のメーカにすぐに真似されるんですよ」と言っていました。
私は、こういった工夫が凝らされた優れた発明こそ特許で保護されるべきじゃ無いかと強く思いました。
特許法第32条 公序良俗に反する発明とは
特許法第32条には、公序良俗に反する発明は特許にならない旨規定されています。
公序良俗に反する発明とは、どのようなものを指すのでしょうか。
例えば、紙幣偽造装置、金塊密輸用チョッキ、阿片吸引具とかです。
かつての弁理士試験受験生のバイブルである「特許法概説」(いわゆる吉藤)には、男性精力増強具も公序良俗に反する発明に該当するとの記載が有ります。
この「特許法概説」は、古い弁理士受験生の必読の書であったため、年配の弁理士のなかには、未だに大人のおもちゃのようなアダルトグッズは、公序良俗に反する発明に該当すると信じている人もいるようです(そういったことが書かれている弁理士のブログを見ました)。
東京高裁の特許法第32条・公序良俗に反する発明の判例
上記男性精力増強具は昭和30年代に出願され、公序良俗に反する発明として拒絶査定→拒絶査定不服審判→拒絶審決→審決取消訴訟(東京高裁)→請求棄却で、最終的に拒絶されています。
東京高裁(東京高判昭和 40 年 12 月 14 日)は、以下のように判示しています。
本願発明の器具は、…ただ性交回数を不自然に増加するための用具として随時用いられ、いたずらに情欲を刺激し、いきおい乱用の弊を生ずるにいたるおそれがあることは、みやすいところであるから、このようなものは、国家社会の一般的利益もしくは道徳観念をそこなうおそれがあり、審決がいうように、秩序もしくは風俗をみだるおそれがあるものともいいうべく、いずれにしても、独占的支配権たる特許権を付与し国家的に保護するにふさわしいものと認めえないことはいうまでもない。
この判決文って、論理破綻していませんか?
性交回数が増加する→国家社会の一般的利益もしくは道徳観念をそこなうという流れに、なぜなるのでしょうか?
少子化の今ならば、性交回数が増加→出生率が増加→少子化による税収減による財政破綻も年金破綻も解消…という流れになり、国家社会の一般的利益に資するのでは無いでしょうか?
話が脱線してしまったので、戻します。
上記の東京高裁の判決を長年引きずって、大人のおもちゃのようなアダルトグッズはつい最近に至るまで、拒絶されてきました。
特開2005-288079「性感帯開発鍛練具」
特開2005-288079「性感帯開発鍛練具」も特許法32条の公序良俗違反で拒絶されています。
この時代になると、図面が特許公報に掲載されるようになりました。
以前は、公序良俗に反する図であるとして、図面が特許公報に掲載されることも有りませんでした。
権利範囲である特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりです。
腟内に挿入可能な挿入部と、この挿入部の根元から陰核方向に湾曲する橋絡部と、この橋絡部の先に設けられ陰核に当たる面が柔軟な素材から成る指圧部と、から成ることを特徴とする性感帯開発鍛練具。
さすがにこの構成では、新規性も進歩性も無さそうです。
この出願には、公序良俗違反に加えて、請求項1、6~10に新規性・進歩性違反の拒絶理由も通知されています。
しかし、請求項5は、新規性・進歩性違反の拒絶理由が通知されておらず、許可クレームです。
請求項5は、
前記挿入部は、腟の入口から上に3~5センチ前後の距離にある前壁部分すなわちGスポットに当たる押圧部を有するものである、請求項1または請求項2または請求項3に記載の性感帯開発鍛練具。
では、なぜ許可クレームが有りながら、拒絶されてしまったのでしょうか?
それは、やはり、拒絶理由に書かれているように、「請求項1~7に係る発明は、淫具、自とく具であることが明らかであるから、特許法第32条の規定により特許を受けることができない。」との公序良俗違反を覆せなかったようです。
非常に残念な感じがします。
興味の有る方は、「性感帯開発鍛練具」の特許明細書を読んでみて下さい。
(ここをクリックすると「性感帯開発鍛練具」の特許明細書のPDFが開きます)
遂に、アダルトグッズが特許される日が来ました!
特許第6861314号 マッサージ器具!
このアダルトグッズの発明は、いわゆるオナホールで(特許公報にもそのように書いてある)、ハンドル部を操作する動きが弾性部材で変換され、不規則な動きをマッサージ本体部に伝えることが可能となる。そのため、ハンドル部を操作する操作者が意図しない動きをマッサージ本体部に与えることができる。それ故、例えば、操作者が刺激したい部位に操作者が意図しない刺激やマッサージ本体部の動きを生じさせることが可能となる…だそうです。
この出願には、公序良俗違反(特許法第32条)の拒絶理由は通知されていません。
おそらく、この出願の前に、アダルトグッズについて特許する旨の知財高裁の判決が有り、特許庁での特許法第32条の運用が変わったものを思われます(探しきれずにスイマセン 見つけたら、アップします)。
興味の有る方は、「マッサージ器具」の特許明細書を読んでみて下さい。
(ここをクリックすると「マッサージ器具」の特許明細書のPDFが開きます)
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