工業上利用できる意匠とは(意匠法第3条第1項柱書)

工業上利用できる意匠である必要性

工業上利用できる意匠意匠法第3条第1項柱書)でなければ、工業上利用できない意匠意匠法第3条第1項柱書)として意匠登録出願拒絶されます。

工業上利用できる意匠とは

工業上利用できる意匠は、意匠審査基準に規定されています。

 

工業上利用できる意匠と認められるには、以下の①~③の全ての要件を満たさなければなりません。

 

①意匠法上の意匠であること

 

②意匠が具体的であること

 

③工業上利用できる意匠であること

 

 

①意匠法上の意匠であること

意匠法上の意匠と認められるには、以下の(1)~(4)の全ての要件を満たさなければなりません。

 

(1)物品性を有すること。

 

(2)物品等自体の形状等であること。

 

(3)視覚性を有すること。

 

(4)美観性を有すること。

 

(1)物品性を有すること。

意匠法の対象とする物品とは、有体物のうち、市場で流通する動産をいいます。

 

ⅰ.原則として動産で無いもの

土地やその定着物であるいわゆる不動産は、物品とは認められません。

不動産となるものであっても工業的に量産され、販売時に道産として取り扱われるもの、例えば、門、組み立てバンガローは、物品と認められます。

 

ⅱ.固体以外のもの

電気、光、熱などの無体物物品と認められません

有体物であっても、気体、液体など、そのもの固有の形状等を有していないものは、物品と認められません。

 

ⅲ.粉状物及び粒状物の集合しているもの

粉状物、粒状物などは、構成する個々のものは固体であって一定の形状等を有していても、その集合体としては特定の形状等を有さないものであることから、物品とは認められません。

 

ただし、角砂糖のように、その集合したものが固定した形状等を有するものは物品として認められます。

 

 

ⅳ.物品の一部であるもの

その物品を破壊することなしには分離できないもの、例えば、「靴下」の一部である「靴下のかかと」は、それのみで通常の取引状態において独立の製品として取引されるものではないことから、物品とは認められません。

 

但し、物品の一部であっても、それが互換性を有しており、かつ通常の取引状態において独立の製品として取引される場合には、物品と認められます。

 

 

(2)物品等自体の形状等であること。

物品等自体の形状等とは、物品等そのものが有する特徴又は性質から生じる形状等をいいます。

物品がカップ入り飲料である場合に、泡立てたミルクとコーヒーにより、表面に模様を描いたカップに入ったカフェラテは、物品等自体の形状等では無いです。

(3)視覚性を有すること。

視覚性を有するとは、肉眼によって認識することができるものをいいます。

 

視覚性を有さないものとしては、粉状物又は粒状物の一単位が該当します。

 

 

(4)美観性を有すること。

ここでいう美感は、美術品のように高尚な美を要求するものではなく、何らかの美感を起こすものであれば足りるとされています。

 

美観性を有さないもの例として、以下の①、②が該当します。

①機能、作用効果を主目的としたもので、美感をほとんど起こさせないもの
②意匠としてまとまりがなく、煩雑な感じを与えるだけで美感をほとんど起こさせないもの

 

②意匠が具体的であること

意匠登録出願6面図に不備が有ると、意匠が具体的でないとされてしまいます。

例えば、6面図が相互に整合しない場合です。

③工業上利用できる意匠であること

工業上利用することができるとは、同一のものを複数製造し得ることをいいます。

 

工業上利用することができるものと認められないものの例としては、自然物である石とか、純粋美術の分野に属する著作物が該当します。

 

 

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