商標法3条1項柱書(自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標)違反とは

商標法3条1項柱書の概要

商標権は、自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標しか取得できないことになっています(商標法3条1項柱書)。

 

商標先願主義(早いもの勝ち)ということもあり、使用しない商品・役務について、商標権が取得されると不都合だからです。

 

商標の使用は、使用の予定でも良いです。

 

商標の使用使用の予定でも良いですが、商標権の発生後に、その商標3年以上使用しなかった場合において、不使用取消審判が請求された場合には、商標権が取り消されます。

商標法3条1項柱書の審査基準

商標法3条1項柱書の審査基準を以下に記載します

1.「自己の業務」について

自己の業務」には、出願人本人の業務に加え、出願人の支配下にあると実質的に認められる者の業務を含む。

 

(例)
① 出願人がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社の業務
② ①の要件を満たさないが資本提携の関係があり、かつ、その会社の事業活動が事実上出願人の支配下にある場合の当該会社の業務
③ 出願人がフランチャイズ契約におけるフランチャイザーである場合の加盟店(フランチャイジー)の業務

2.「使用をする商標」について

(1) 「使用をする」とは、指定商品又は指定役務について、出願人又は出願人の支配下にあると実質的に認められる者(以下「出願人等」という。)が、出願商標を現に使用している場合のみならず、将来において出願商標を使用する意思(以下「使用の意思」と
いう。)を有している場合を含む。

 

(2) 指定役務が、例えば、次のような場合には、商標を使用できない蓋然性が高いものとして、本項柱書により登録を受けることができる商標に該当しないと判断する旨の拒絶理由の通知を行い、出願人が指定役務を行い得るか確認する。

 

(例)
指定役務に係る業務を行うために法令に定める国家資格等を有することが義務づけられている場合であって、願書に記載された出願人の名称等から、出願人が、指定役務に係る業務を行い得る法人であること、又は、個人として当該国家資格等を有していることのいずれの確認もできない場合。

 

商標法3条1項柱書違反の拒絶理由を通知の基準

では、特許庁は、どのような基準で、商標法3条1項柱書違反拒絶理由通知するのでしょうか?

(1)資格や免許が必要な役務について、無資格や無免許で指定した場合

例)金融業の免許を有さない者が、金融業に関する役務について商標出願した場合、弁護士資格を有していない者が、法律業務に関する役務について商標出願した場合

(2)大量の指定商品又は指定役務を指定した場合(一区分の中で類似群が23以上)

商標審査便覧41.100.03には以下のように記載されています。

 

原則として、1区分内において、23以上類似群コード(以下「類似群」という。)にわたる商品又は役務を指定している場合には、商品又は役務の指定が広い範囲に及んでいるため、指定商品又は指定役務について商標の使用及び使用の意思があることに疑義があるものとして、商標の使用又は使用の意思の確認を行う。

 

以前は、一区分の中で類似群8以上の場合に、商標法3条1項柱書違反拒絶理由通知されていましたが、2018年の商標審査便覧の改定により、一区分の中で類似群23以上の場合に、と基準が緩和されました。

 

しかし、類似群のカウント方法が変更になりました。

 

現在1個としてカウントを行っている複数類似群が付与されている商品・役務についても、1個ではなく、付与されている数をカウントされるようになりました。

 

23以上というのは、あくまで類似群の数で、指定商品・指定役務の数では無いです。

指定役務が50記載されていても、その50の指定役務に付与されている類似群の種類の合計が22以内であれば、商標法3条1項柱書違反拒絶理由通知されません。

 

(3)以下の場合に、「総合小売等役務」が指定され、出願当初から商標の使用又は使用意思に関する証明書類等が提出されてない場合

①個人が「総合小売等役務」について出願した場合

②法人が指定した場合であって、「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をするものであるか否かについて職権で調査を行っても、出願人が総合小売等役務を行っているとは認められない場合

③ 類似の関係にない複数の小売等役務を指定してきた場合

例)飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(類似群コード:35K03)と自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(類似群コード:35K04)を指定した場合

 

上記③の場合には、商標の出願時に、(1)商標の使用を開始する意思、及び(2)事業予定を提出すれば、商標法3条1項柱書違反を回避することができます。

 

商標法3条1項柱書違反とならないために

 

(1)無資格や無免許であるのに、資格や免許が必要な役務について指定しないこと

 

(2)一区分の中で類似群を22以内に抑えること

 

(3)①総合小売等役務や②類似の関係にない複数の小売等役務を指定する場合には、出願時に、商標の使用又は使用意思に関する証明書及び事業予定が提出すること

 

商標の使用の意思の審査便覧(ここをクリックすると新たなページが開きます)

 

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