発明の単一性

発明の単一性とは

発明の単一性とは、1の願書で出願できる発明の範囲をいいます(特許法第37条)。

 

2以上の発明が、同一又は対応する特別な技術的特徴を有していることが要件となります。

 

特別な技術的特徴とは

 

特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいいます。

 

ここで、「先行技術」とは、第 29 条第 1 項各号に該当する発明を意味し、本願の出願時に公開されていないものは含みません。

 

先行技術に対する貢献とは、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義をいいます。

先行技術に対する周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではない場合 や一の先行技術に対する単なる設計変更であった場合には、特別な技術的特徴を有していません。

つまり、特別な技術的特徴とは、従来に無い新規な技術的特徴であります。

 

同一の特別な技術的特徴とは

同一の特別な技術的特徴の一例として、審査基準には以下の例示が記載されています。

 

例 1:
[請求項 1] 高分子化合物 A(酸素バリアー性のよい透明物質)。
[請求項 2] 高分子化合物 A からなる食品包装容器。

 

(説明)
高分子化合物 A が先行技術に対する貢献をもたらす特別な技術的特徴である。請
求項 1 及び 2 に係る発明は、いずれもこの技術的特徴を有しているから、同一特別な技術的特徴を有する。

 

 

例 2:
[請求項 1] 光源からの照明光を一部遮光する照明方法。
[請求項 2] 光源と光源からの照明光を一部遮光する遮光部を備えた照明装置。

 

(説明)
照明光を一部遮光する点が先行技術に対する貢献をもたらす特別な技術的特徴である。請求項 1 及び 2 に係る発明は、いずれもこの技術的特徴を有しているから同一特別な技術的特徴を有する。

 

 

対応する特別な技術的特徴について

二以上の発明が「対応する特別な技術的特徴」を有している場合とは、以下の a 又は b のいずれかの場合です。

a それぞれの発明の間で先行技術との対比において発明が有する技術上の意義が共通している場合又は密接に関連している場合

二以上の発明において、先行技術に対して解決した課題(本願出願時に未解決である課題に限る。)が一致又は重複している場合は、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義共通している場合又は密接に関連している場合

 

審査基準には、以下のように例示されています。

 

例 3:
[請求項 1] 窒化ケイ素に炭化チタンを添加してなる導電性セラミックス。
[請求項 2] 窒化ケイ素に窒化チタンを添加してなる導電性セラミックス。

 

(説明)
請求項 1 及び 2 に係る発明は、窒化ケイ素に添加する物質がそれぞれ、炭化チタン及び窒化チタンである点で、異なる技術的特徴を有する。

 

ここで、請求項 1 及び2 に係る発明が先行技術に対して解決した課題は、窒化ケイ素からなるセラミックスに導電性を付与することによって放電加工を可能にすることである。

 

したがって、請求項 1 及び 2 に係る発明は、先行技術に対して解決した課題が一致又は重複しているから、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義が共通しているものであり、対応する特別な技術的特徴を有する。

 

なお、この例で、窒化ケイ素からなるセラミックスに導電性を付与することによって放電加工を可能にすることが、本願出願時に未解決である課題とはいえない場合は、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義が共通している、又は密接に関連しているとはいえない。したがって、請求項 1 及び 2 に係る発明は、対応する特別な技術的特徴を有しない。

b それぞれの発明の特別な技術的特徴が相補的に関連している場合

審査基準には、以下のように例示されています。

 

例 4:
[請求項 1] 映像信号を通す時間軸伸長器を備えた送信機。
[請求項 2] 受信した映像信号を通す時間軸圧縮器を備えた受信機。

 

(説明)
請求項 1 及び 2 に係る発明は、それぞれ、時間軸伸長器を備える送信機及び時間軸圧縮器を備える受信機である点で、異なる技術的特徴を有する。ここで、送信機において時間軸を伸長し映像信号を送信することと、受信機において映像信号を受信して時間軸を圧縮することとは、相補的に関連するものである。したがって、請求項 1及び 2 に係る発明は、対応する特別な技術的特徴を有する。

 

 

発明の単一性違反の場合

 

特許出願発明の単一性違反の場合には、発明の単一性違反(特許法第37条)拒絶理由が通知されます。

 

この場合には、以下の①又は②の対応を行うことにより、発明の単一性違反(特許法第37条)拒絶理由を解消することにより、特許査定に導くことができます。

 

特許請求の範囲補正を行うことにより、発明の単一性が無いとされた請求項削除する補正を行う。

 

発明の単一性が無いとされた請求項分割出願するとともに、元の出願の発明の単一性が無いとされた請求項削除する補正を行う。

シフト補正の禁止

シフト補正の禁止とは、特許出願人が拒絶理由通知を受けた後に、その特許請求の範囲の内容を、審査官が新規性・進歩性等の判断を示した請求項に対して単一性を有しない発明へ変更することを禁止することをいいます(特許法第17条の2第4項)。

特許法第17条の2第4項

 

特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。

請求項に記載されていない実施形態を請求項にクレームアップする補正をすると、審査官はそのクレームアップした請求項について先行技術調査を再び行わないといけないため、審査官との対応においてシフト補正の禁止となる旨クレームアップを嫌がる場合が有ります。

しかし、上記した発明の単一性の審査基準に合致した請求項をクレームアップした場合には、審査官は発明の単一性が有ると認めざるを得ません。

 

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