商標の使用による識別性(商標法第3条第2項)

条文

商標法第3条第2項

 

前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

ここで、前項第三号から第五号とは、商標法第3条第1項第3号~第5号のことです。

商標法第3条第1項第3号~第5号についてはここをクリック(新しいページが開きます)

 

商標法第3条第2項の概要

識別力を有さない商標は、商標法第3条第1項第1号~第6号の規定により、登録されませんが、使用により全国レベルの周知性を有するに至った商標は、商標法第3条第1項第3号~第5号の規定の例外として、商標登録を受けることができます。

 

 

商標法第3条第2項の規定の適用が受けることができる要件

 

①出願商標と使用商標が同一であること

以下、商標審査基準より抜粋

 

(1) 商標について

出願商標と使用商標とが外観において異なる場合は、出願商標を使用しているとは認めない。

ただし、出願商標と使用商標とが外観上厳密には一致しない場合であっても、外観上の差異の程度や指定商品又は指定役務における取引の実情を考慮して、商標としての同一性を損なわないものと認められるときは出願商標を使用しているものと認める。

 

(例1) 同一性が認められる場合

① 出願商標と使用商標が文字の表記方法として縦書きと横書きの違いがあるにすぎない場合

② 出願商標と使用商標が共に一般的に用いられる字体であり、取引者又は需要者の注意をひく特徴を有せず、両者の字体が近似している場合

 

(例2) 同一性が認められない場合

① 出願商標が草書体の漢字であるのに対し、使用商標が楷書体又は行書体の漢字である場合

② 出願商標が平仮名であるのに対し、使用商標が片仮名、漢字又はローマ字である場合

③ 出願商標がアラビア数字であるのに対し、使用商標が漢数字である場合

④ 出願商標が P のような態様であるのに対し、使用商標が P 、 P 、 P である場合

⑤ 出願商標が平面商標であるのに対し使用商標が立体商標である場合

 

(2) 商品又は役務について

出願商標の指定商品又は指定役務と使用商標の使用する商品又は役務とが異なる場合には、指定商品又は指定役務について出願商標を使用しているとは認めない。

ただし、指定商品又は指定役務と使用する商品又は役務とが厳密には一致しない場合であっても、取引の実情を考慮して、指定商品又は指定役務と使用する商品又は役務の同一性が損なわれないと認められるときは、指定商品又は指定役務について出願商標を使用しているものと認める。

 

②全国レベルの周知性(需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの)を有していること

以下、商標審査基準より抜粋

 

「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」について

 

(1) 需要者の認識について
「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、何人かの出所表示として、その商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されているものをいう。

 

(2) 考慮事由について
本項に該当するか否かは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断する。

なお、商標の使用状況に関する事実については、その性質等を実質的に把握し、それによってその商標の需要者の認識の程度を推定する。

① 出願商標の構成及び態様
② 商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域
③ 広告宣伝の方法、期間、地域及び規模
④ 出願人以外(団体商標の商標登録出願の場合は「出願人又はその構成員以外」とする。)の者による出願商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況
⑤ 商品又は役務の性質その他の取引の実情
⑥ 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果

(3) 証拠方法について
本項に該当するか否かの事実は、例えば、次のような証拠により立証する。
① 商標の実際の使用状況を写した写真又は動画等
② 取引書類(注文伝票(発注書)、出荷伝票、納入伝票(納品書及び受領書)、請求書、領収書又は商業帳簿等)
③ 出願人による広告物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし、テレビCM等)及びその実績が分かる証拠物
④ 出願商標に関する出願人以外の者による紹介記事(一般紙、業界紙、雑誌又はインターネットの記事等)
⑤ 需要者を対象とした出願商標の認識度調査(アンケート)の結果報告書(ただし、実施者、実施方法、対象者等作成における公平性及び中立性について十分に考慮する。)

 

 

 

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