販売前に特許・意匠出願を! 販売から1年を経過すると取得不可に

日本弁理士会の東海会から、知的財産権について中部掲載新聞に掲載する記事を書いて欲しいという要望をうけ、記事を書いたところ、2024年3月14日発行の中部経済新聞に私が書いた記事が掲載されました。

以下に、中部経済新聞に掲載された文章を掲載します。

販売前に特許・意匠出願を!

 

「この商品良く売れているので、特許出願(意匠出願)したいんです!」という相談を何度か受けたことが有ります。

 

製品を販売してしまうと、新規性が喪失します。新規性が無いと、特許出願や意匠出願は拒絶され、特許権や意匠権を取得できません。最初に販売した日から1年以内であれば、新規性喪失の例外規定の適用を受けた出願を行えば、販売による新規性が喪失しなかったことになります。

 

しかし、最初に販売した日から1年を経過していることがよく有ります。この場合には、特許権や意匠権の取得を諦めるしかありません。

 

ある社長さんに、「販売してしまうと特許権が取得できないという制度っておかしいじゃないですか!売れるかどうか分からない物にお金をかけて出願しても、売れなかったら出願費用が無駄になるじゃないですか!売れているから、お金をかけて出願するんですよ!そんな制度おかしいですよ!」と言われたことが有ります。

 

お気持ちは分かりますが、現状の制度では、最初に販売した日から1年を経過した場合には、特許権や意匠権の取得ができなくなってしまいます。特許権や意匠権を取得したい場合には、製品の販売前に、特許出願や意匠出願をしましょう。

 

製品を販売してしまうと、新規性が失われて、特許権意匠権が取得できなくなってしまうということを知らない人は多いです。
販売等の公開の日から1年以内であれば、新規性喪失の例外の規定の適用を受けた特許出願や意匠出願を行うことにより、販売等の公開が無かったことになり、特許出願や意匠出願は販売等の公開を原因とする新規性違反で拒絶されることは有りません。

 

 

新規性喪失の例外の図

特許事務所に出願を依頼した場合には、新規性喪失の例外の手続きの費用が発生します。

 

以前は、意匠出願の場合に、公開事由全てについて、新規性喪失の例外の証明書面を特許庁に提出する必要が有ったために、お客様がこのことを知らずに、SNS等で多数公開してしまった場合には、新規性喪失の例外の証明書面の提出費用が高額となってしまいました。

 

2024年1月1日からは、意匠出願については、最先の公開の日のいずれかの公開行為について証明することで、その日以後に公開した同一又は類似の意匠についても新規性喪失の例外規定の適用が受けられるようになりました。

 

このことについては、後日解説したいと思います。

 

販売等の公開の日から1年以内に特許出願や意匠出願をすれば、上で述べたように、新規性喪失の例外規定の適用を受けた出願を行うことができますが、販売等の公開の日から1年を経過してしまうと、新規性喪失の例外規定の適用を受けることができません。

 

審査過程において、審査官が販売等の公開の事実を知らずに、特許査定や登録査定がなされることは有ります。

 

しかし、審査官が、インターネット上の情報を検索して、販売等の公開の事実を見つけてくることが有ります。この場合には、特許出願や意匠出願は拒絶されます。

 

もし、審査官が販売等の公開の事実を把握すること無く、特許権や意匠権が設定登録された場合であっても、第三者が販売等の公開の事実を見つけて、無効審判を請求して、特許権や意匠権が無効となってしまうこともあります。
 

このような無効審判の請求は、特許権者や意匠権者が第三者に権利行使を行った時に、第三者が対抗のために行うことが多いです。
 

新規性喪失の例外の適用を受けたとしても、販売等の公開をしてしまうと、第三者に特許出願や意匠出願をされてしまうことも有ります。

 

やはり、販売する前に、特許出願や意匠出願をするべきです。

 

 
 
 

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