事件の概要とピーポーくんとは

警視庁のマスコット「ピーポーくん」を印刷した名刺を販売していた男が商標法違反で逮捕されました。

 

警視庁のマスコット「ピーポーくん」を印刷した名刺を販売するって、なかなか大胆不敵ですね。

 

 

朝日新聞の記事によると

警視庁のマスコット「ピーポくん」に似た図柄がプリントされた名刺を販売目的で所持したとして、愛知県警は16日、香川県三木町の会社役員蓮井幸彦容疑者(56)を商標法違反の疑いで逮捕し、発表した。「ピーポくんが商標登録されているとは知らなかった」と容疑を否認しているという。「ピーポくん」は東京都商標登録を受けている。

捜査4課によると、蓮井容疑者は8月5日、「ピーポくん」に似た図柄がプリントされた5人分の名刺26枚を販売目的で所持した疑いがある。5人はいずれも警視庁に在籍した経歴があるという。

蓮井容疑者は、暴力団の関連グッズなどを販売するインターネットサイトを運営していた。県警が8月に関係先を捜索したところ、パソコンから、「ピーポくん」の図柄入りの名刺データが複数見つかった。ほかに、埼玉県警福島県警などの肩書の49人分の名刺計224枚も見つかったという。

名刺は1枚1千円程度で売られていたという。この名刺が悪用された事例は確認されていないといい、愛知県は名刺の入手経路などを調べている。

上記記事は書きURLより引用
https://www.asahi.com/articles/ASPCK3DNRPCJOIPE02K.html

 

 

ピーポーくんとは、ウッキーペディアによると

ピーポくんは、警視庁のマスコットキャラクター。

都民と警視庁のきずなを強めるため「親しまれ、信頼される警視庁」をテーマに、警視庁のシンボルマスコットとして1987年(昭和62年)417日に誕生した。名前の由来は、人々の「ピープル」と、警察の「ポリス」の頭文字から。

ほぼ全身が黄色であり、耳が大きく、腰にはベルト(19943月まで警察官の装備として採用されていた負革の付いた帯革)を締めている。

 

中略

 

1987417日にキャラクター制定。ピーポくんは元々、警視庁広報課が発案しキャラクターデザイナーと共同で製作したもので、その著作権は警視庁に帰属し、商標登録もされている(登録権利者は東京都)。そのため、テレビ番組やコミックなどでピーポくんをモデルにしたキャラクター(あるいはピーポくんそのもの)を登場させる際には、「ピーポーくん」などと言い換えられることがある。

当初は防犯ポスターなどに使われていたが、その後、縫いぐるみや携帯ストラップ、メモ帳、消しゴム、マウスパッド、テレカ、Tシャツ、キーホルダー、防犯ブザーなど各種グッズが製作・販売されるようになった(警視庁管内の運転免許試験場の売店などで購入できる)。また、警視庁公式ウェブサイトにはいたるところにピーポくんが登場する。さらに、警視庁管内の交番や警察署の各課窓口などには、縫いぐるみやポスター、建て看板などが置かれていたりもする。

上記記載は、下記URLより引用

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%81%8F%E3%82%93

 

 

「ピーポーくん」の商標権は

ピーポーくんの商標は以下の図形の商標です。

 

ピーポーくん

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)より
引用(登録4480025)

商標権者は東京都であり、以下の3つの商標権が発生しています(それぞれクリックすると商標公報が開きます)。

登録4480025

登録4518437

登録6204850

 

指定商品・指定役務は、理化学機械器具、貴金属、紙類、織物、被服、技芸・スポーツ又は知識の教授、牽引車等大量に指定されています(上の登録番号をクリックすると確認できます)

 

なぜ商標権侵害なのか?

商標権の侵害となるには、以下の①及び②の要件を満たさないといけません(商標法第25条、第37条)。

登録商標同一又は類似の商標を使用。

②登録商標の指定商品・指定役務同一又は類似の商品・役務に使用する。

 

 

容疑者が販売していた名刺は以下の名刺です。

 

ピーポーくんの図が入った名刺
上記写真は、下記URLより引用
https://www.chunichi.co.jp/article_photo/list?article_id=366996&pid=1703253

 

 

登録商標には色彩は付されていませんが、名刺には色彩が付されています。

 

色違い類似商標は、登録商標と同一の商標とみなされます(商標法第70条第1項)。

 

従いまして、容疑者は、登録商標同一の商標を使用しているといえます。

 

指定商品・指定役務はどうでしょうか?

 

登録4480025指定商品には、「文房具類」が含まれています。

 

類似商品・役務審査基準の第16類の「文房具類」を見ると、下位概念として「名刺用紙」が含まれています。

 

容疑者は、「名刺用紙」に東京都の登録商標である「ピーポーくん」を付して販売したので、登録商標の指定商品と同一の商品を販売したことになります。

 

容疑者は、「ピーポくんが商標登録されているとは知らなかった」と容疑を否認しているそうですが、物を販売する前には、特許情報プラットフォームで商標権が登録されているか否かを調べないとだめですね(笑)。

 

特許情報プラットフォームのURLは
https://www.j-platpat.inpit.go.jp

 

商標権が登録されてることを知っていなかったとしても、商標権侵害を構成する行為をすれば、刑事罰は問われますし、他人の商標権を侵害した者は、過失が推定されるので(準用する特許法第103条)、損害賠償も請求されます。

 

この容疑者は、実在する警察官の名刺を作成して販売していて、悪意満々ですが、そうでなくても、商標権侵害している場合が有ります。

 

何か事業をする場合には、商標権が存在していないか調べる必要が有りますし、商標権を取得すべきです。

 

商標権の取得を専門家である弁理士に依頼した場合には、もし仮に他人の商標権が存在した場合には、出願前に発覚するので、別の商標に変更するということができます。

 

もし、商標登録出願を検討しなかった場合には、知らず知らずのうちに、他人の商標権を侵害していたということもあります。

 

そうすると、この事件の容疑者と同じ結果となってしまいます。

 

繰り返しますが、事業を行う場合には、商標権を出願すべきです。

 

もし、商標権を出願せずに、他人に商標権を取られてしまったら、長年使用していた会社名、商品名、サービス名を変更しなくてはならないことになってしまうかもですし。

 

以下のコラムも読んでいただければ幸いです。

商標権を取得しなかった場合はどうなるのか?(クリックすると新しいページが開きます)

商標の出願を検討しなかった場合にはどうなるのか?(クリックすると新しいページが開きます)

 

当事務所では、商標登録出願は勿論なこと、商標調査も行っています。

 

事業をされている方、これから事業を行う方は、是非当事務所に相談下さい。

 

相談無料ですので、是非お気軽に相談下さい。

 

 

 

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